いつも励ましのコメント、ありがとうございます!

 

お久しぶりの昭和アイドル曲関連の投稿です。

 

今回は、コメントからリクエストをいただいていた、お気に入りの「シンセサイザーの音が特にツボ・聴くと幸せになれる昭和ソング」をご紹介してまいります。

 

80年代における音楽の豊かさを象徴する特徴のひとつ、それがシンセサイザーとこの時代特有の打ち込み音だと思います。

 

私自身も、平成~令和にかけては耳にすることのなくなった、どこか粗削りと言うか、粗雑さがありながらも耳に心地よい昭和の打ち込み音にゾッコン惚れ込んでしまっているひとりです。

 

うーん、上手く言えないのですが、昭和のシンセの打ち込み音って、ある程度の重量のようなものがあって、それが聴く私の耳にはすごくしっくりくるんですよね…(私が学生時代を過ごした2000年代後半~2010年代の音楽は、音の質こそ上がっていたのかもしれませんが、滑らかすぎてあまり心に刺さるものがありませんでした)。

 

それでは、紹介していきます。

どうぞ!!

 

 

 

①ふられ気分でRock’n Roll by TOM★CAT

 

昭和のシンセ代表曲として、これはやっぱり外せない!

これほどシンセの音が明るく楽しそうに、まるで生きているかのように躍動する曲はなかなかお目にかかれません。

メロディーも素晴らしく、イントロからAメロ、サビ全てが、一度聴いたら間違いなく記憶できしてしまうほどの存在感を放っています。


更に言えば、歌詞も良い!


恋破れてしまった女性の混乱や、相手の幸せを願うことのできない素直な悔しさ、惨めさ、「いつか見返してやるから」という女としてのプライド、それでも最後には、「最後の最後までつらぬいてみせて あなたが選んだ愛ならば」と、捨てきれない優しさをのぞかせる女性の姿を、一曲の中で見事に描ききっています。

そして、この歌詞の切なさと、TOMさんの少し掠れているけれど力強いボーカル、どこまでも明るいシンセの音との調和がとにかく見事で、それがこの曲を勇逸無二の名曲に昇華させているんですよね。

 

TOMさんはご自身のことを「一発屋」と自虐的におっしゃっているそうですが、「名刺代わり」と呼べるような代表曲、そしてヒット曲を創り出すことができたというのは、本当に凄いことだと思います。

 

 

 

②涙をみせないで~Boys Don’t Cry~ by Wink

ユーロビート全盛期に燦然と輝く、80年代晩年の二つ星、Wink。

打ち込み音の心地よさ、という点で選ぶならば、私はこの曲がWinkの楽曲群の中では1番好きかもしれません。


この時代の音って、バブルの勢いを象徴するかのようなきらびやかさがありますが、Winkは二人の声質といい、衣装のゴージャスさといい、全てが上手いことこの「きらびやかさ」と調和していて、それがWinkというアイドルの人気や売り上げに結び付いた要因のひとつだと私は思っています。


この『涙をみせないで』もそんな彼女たちのきらめきを感じられる一曲で、喩えるならば、本当に星のような作品です。


また、別記事でも書いたかもしれませんが、Winkの凄さは、どちらかと言えば「カッコいい」寄りの印象があったユーロビートを、「カワイイ」へ変換し、このバブルという時代特有の「王道アイドル」の品位を確立していたところにあると私は思っています。

シンセのきらびやかさと、ドーリーでゴージャスな衣装、そして無機質さを感じさせるアンニュイな表情、アシンメトリーで機械的な動きの振り付け…

全てが結びついて、Winkはおニャン子以後の焼け野原において絶対的な「神秘性」を確立していました。

このWinkと同時代に、アイドルの「神秘性」と「夢」、まるでディズニーランドのような「魔法」感を感じさせていた光GENJIが全盛の時を迎えていたというのも、なんだか運命的なものを感じます。

 

 

 

③Z‣刻をこえて by鮎川麻

そう言えばしべりあ、無事ファーストガンダムとガンダムZ、そして「逆襲のシャア」を視聴し終えました。


私はファーストガンダムが1番好きだったのですが(カイ・シデン推し。Zはとにかくカミーユが可哀そうで…カミーユの周りにロクな大人がいなさすぎる。特にグラサンノースリーブ、お前だ!)、Zはなんと言っても主題歌が良いですよね。

『水の星へ愛をこめて』は名曲すぎるので、今回はあえてこちらの初代OPをチョイスさせていただきました。


『水の星~』が有名すぎるせいで陰に隠れがちな『Z・刻をこえて』ですが、これも良い曲!

『水の星~』が、人類や地球という星へ捧げるララバイのような、神秘的で壮大なスケールを持つ楽曲だったのに対し、『Z・刻をこえて』はイントロからカッコよく、シンセの音が持つ鋭利さが、宇宙やモビルアーマー(ロボットと言うとガンオタの皆様に怒られる)といった、アニメの持つイメージにぴったり合っていて、聴いていると自然とワクワクさせられます。


『水の星~』が、ガンダムが描こうとしている人の性や、愚かさ、あやまち、優しさ、愛を象徴している曲だとするならば、『刻をこえて』はガンダムの、戦闘やモビルアーマー、宇宙といった、近未来的な世界観を象徴している曲と呼べるかもしれません。

 

 

 

④月下美人 by松本伊代

「16だから~」の伊代ちゃんが、いよいよ二十歳という年齢の時に歌った、細野×松本コンビによる上品ここに極まれりなテクノポップ。

シンセの音の浮遊感が、松本さんが描く神話的な世界観にぴったりと合致。

加えて、歌手として円熟味が出てきた、大人になった伊代ちゃんの歌い方もこの曲にぴったりです。

イントロを聴いて瞬時に、夜のとばりの色を想起できてしまうから、音が持つ力ってすごいですよね。

松本さんの筆致も相変わらず見事のひとことで、音に乗った言葉のひとつひとつ、全てがまるで宝石のよう。

 

 

 

 

⑤ガラスの天球儀 by斉藤由貴

シンセポップのアイドル曲を挙げるにあたって、斉藤由貴さんのアルバム『age』と、『age』をプロデュースされた崎谷健次郎さんの名前は外すことができません。


筒美×松本という黄金コンビのもと、島崎藤村の詩集からそのまま^_^現れたような女性像を体現していた斉藤由貴さんが、筒美×松本さん達以外のプロデュースを受け、歌い手・表現者として確かに成長を遂げていたその瞬間、まさしく羽化の最中という魅力を存分に味わえることができるのが、『風音』や『age』というアルバムだと思います。


『age』においてはアルバムリード曲『LUCKY DRAGON』などもシンセ曲として大のお気に入りなのですが、迷った挙句、今回はこちらをチョイスさせていただきました。

この曲のイメージは、ひとことで言うと「雨」。

雨というイメージを、谷山浩子さんは美しい、輝く星座や宇宙と結びつけ、青々と濡れたその世界観の中で、主人公のハートブレイクが描かれています。


この谷山さんが描く、どこまでも美しい、プラネタリウムのように繊細で精美な世界観を壊さぬまま、音楽として表象することに成功しているのが、崎谷さんプロデュースの上品で滑らか、クラシックとさえ言えるシンセ音です。


最近の、特に夏の雨ときたら、熱帯のスコールさながらでそこはもう、「青空に稲妻~(Run run run run run away)」としか歌えないくらい私個人としては辟易しているのですが、たまにはこういう、耽美なイメージにひたれるような、しっとりとした雨を眺めたいものです。

 

 

 

 

⑥思いがけないSITUATION by崎谷健次郎

こちらは、前述した『age』制作を手がけられた崎谷さんご本人のシングル曲にして、デビュー曲。

確か、国生さんの主演映画の主題歌?だったような(うろ覚え)。

作詞は秋元康さんです。


曲調やベースは、フィルコリンズが歌っていた『Easy Lover』のオマージュでしょうか(イージーラヴァ―懐かしいな…高校生の時、宿題や自主勉強しながら自室でイヤホンをガンガン鳴らしながら聴いたものです)?


崎谷さんの曲はどちらかと言えば、『age』に多く収録されていたような、上品でクラシカルなシンセポップが多いイメージがあるのですが、この曲はシンセの「カッコよさ」を存分に発揮させた曲ですね。


崎谷さんの曲では、他に『JewelyよりMemory』や、『ラベンダーの中で』、『6月絵と君と』などが好き(特に『6月絵と君と』は最初聴いた時、「レゲエというジャンルでここまで洗練された曲は初めて!」と驚かされたものです)。

 

 

 

 

⑦恋のアドリヴ byキララとウララ

シンセポップとして、EPO×清水信之プロデュース作品を取り上げたい!

ということで、キララとウララのアルバム、『ダブル・ファンタジー』収録のこの作品をチョイス。クセ強デビュー曲『センチ・メタル・ボーイ』のB面でもあります。


EPOさんの真骨頂って、こういう、明るいけれどどこか寂しさがただようポップスにこそ表れていると思うんですよね…。

この曲に関しては、歌詞にそこまでの悲しさはないものの、好きな男の子とのお喋りがぎこちなかったり、「私のピアノ線が錆びないように」というフレーズに、ヒロインの繊細さや、好きな男の子へ積極的に踏み出せない不器用さ、臆病さが見て取れるのではないでしょうか。


『う・ふ・ふ・ふ』や『ビタミンEPO』など、元気で明るい、エネルギッシュなEPOさんのポップス、そしてそのエネルギーを後押しするような清水さんのアレンジがこのお二方の楽曲としては有名ですが、どこまでも優しいアレンジによって仕上げた、このテのシンセポップもしみじみと聴けて良いものです。

キラウラの少女らしい澄み切ったデュエットもGood!

 

 

 

 

 

⑧もっとタイトに I love you by柏原芳恵

マイナーな曲が続いてすみません。

柏原芳恵さんの、アルバム『Luster』収録の作品です。筒美さんが作曲で、アレンジは船山さん。


芳恵さんと言えば、『春なのに』や『最愛』など、どちらかと言えば重厚感ある楽曲のイメージが強いかもしれませんが、そんな芳恵さんのイメージを良い意味で裏切りつつ、彼女の歌唱力の高さ、歌手としての表現力の幅広さを存分に感じられるアルバムがこの『Luster』。ジャケ写もお洒落。

今回取りあげさせていただいている、『もっとタイトにI love you』はアルバムのリード曲で、作詞は秋元康さん。

エクササイズをテーマにした、健康的で明るい楽曲なのですが、その中に「ペリエ」という、曲のイメージを決定づけて耳に残るワンフレーズを入れ込むのは、さすが秋元さんと言ったところの手腕です。

 

 

 

 

⑨Bye Bye My Love byサザンオールスターズ

いや、やっぱりシンセ曲を紹介するにあたって、サザンの『KAMAKURA』は無視できません…!


毛ガニさんのパーカッションが主役と言って良い存在感を放つ、ストーリー仕立てが楽しい『死体置き場でロマンスを』とか、隠れた名バラード『愛する人とのすれ違い』とか、重低音が尖りまくりの『怪物君の空』とか、とにかくこのアルバム収録曲で取り上げたい曲は山ほどあるのですが、今回は泣く泣く、おそらく1番有名であろうシングル曲をチョイスさせていただきます。


いや、この曲に関しては聴くたびに思わされますが、桑田さんって本当にイントロ職人ですよね。この曲然り、後年の『希望の轍』しかり…。


アルバムタイトルは「鎌倉」なのですが、このイントロで一気に、どことはわからぬ異国の気配を曲がまとい始めます。そしてハートは鷲づかみ。


あと、原坊のキーボーティストとしての腕もやっぱり素晴らしくて、ライブ映像とかを観ればわかるんですが、ライブの早いテンポで、この曲や『ミス・ブランニューデイ』とかのイントロを、さらっと弾いちゃっているんですよね。あのいつもの、たおやかな微笑みを浮かべたままで。


アルバム『KAMAKURA』はレコーディングに1800時間を費やした名盤で、小室哲哉さんもこの作品に衝撃を受けたと語っています。

後世に与えた影響も大きいかもしれませんね。

 

 

 

 

⑩花のように by杉浦幸

矢野顕子さん作詞作曲による本作。

杉浦さんの性格や嗜好的に、この曲あまり好きじゃないだろうなぁと思いつつ、個人的にはデビュー曲『悲しいな』の次に好きなのがこちらです。


矢野さんの春ソングと言えば、王道不動の『春咲小紅』がありますが、これを聴いても、矢野さんの音楽性と春という季節の親和性の高さ、相性の良さを感じさせられます。

『春咲小紅』もそうなんですが、矢野さんの曲の電子音の明るさは、「花」とか「光」とか、そういう生命力やあたたかさに溢れたものたちをイメージさせるんですよね。


あと、個人的にこのPVが凄く好き。

杉浦幸ちゃんは、私にとって好みの顔立ちの女の子というわけではないのですが、このPVに関してはすごく魅力的に感じます。

黒目がちの瞳とベビーフェイスに、眉根をいつも寄せたような、アンニュイでちょっと攻撃的でもある表情が意外なほどの相性の良さを発揮していて、そこに桃子を彷彿とさせるようなマシュマロボイスがくるものですから、確かにちょっと他のアイドルにはない引力を持つ子だなと再認識いたしました。

この魅力を存分に出せていたのが、『悲しいな』と本作だと思うのですが、幸ちゃんの好み的に、ツッパリ系が良かったそうで。


あと、余談なのですがこのPVに映っている美術館らしき建物、多分フリッパーズギターの『Friends Again』のMVにも使用されていた場所だと思うんです。

パーフリファンとして、そこにも反応してしまいました。

 

 

 

 

⑪黒髪にアマリリス by河合奈保子

87年発売のアルバム、『JAPAN as waterscapes』収録の楽曲。

作曲は、奈保子ちゃん自身が手掛けています。


この曲を夜ヒットで披露した映像をYou Tubeで見つけたのですが、この頃の奈保子ちゃん、デビュー時から比べると随分すらっとされています。

肉感的、と言うか、健康的な奈保子ちゃんのルックスも勿論好きだったのですが、こうやってすらっとした大人の美人さんになられた姿も、しなやかな艶やかさがあって素敵です。


楽曲は、ザ・80年代後半の硬質な打ち込み音が目立ちます。

その中にも、歌詞からうかがえるような独特のエキゾティシズムが感じられて、なかなか他アイドル曲にはない雰囲気が印象的です。


この曲のヒロインは、歌詞から推察するに、日本ではない異国をルーツに持っているんですよね。そして、それ故の寂しさや、見たことのない故郷へのノスタルジー、自分という存在のアイデンティティや、愛への不安に駆られている…後半になってリフレインする、「ふたりが結ばれた同じ年齢に私も誰かに愛されるでしょうか」という問いかけが切ないです。

ちなみに、この歌詞を手がけられたのは、吉元由美さん、

間奏のサックス音も個人的にツボ。

 

 

 

 

 

 

以上!

シンセの音や打ち込み音が特に好きな、昭和ソングをご紹介させていただきました。

皆さんの好きな曲はありましたでしょうか?

おすすめの曲などございましたら、ぜひコメントで教えてください。

 

今回、自分でもいろんな曲を改めて聴き直しながら思わされましたが、シンセって、アレンジによって表情をガラッと変える楽器ですね。

時に「近未来感」や「カッコよさ」を演出し、かと思えば透明感のあるイメージを創出したり、神秘的な雰囲気、明るさや、異国情緒まで、幅広くなんでもござれ。

こういう音によって演出できる「イメージの幅の広さ」は、不思議なことですが近年のJ-POPには(個人的には)あまり感じられなくなっている特徴で、楽器の技術自体は進化しているのに、何故だろうかと素人ながら不思議に思うところです。

 

 

8月も終わりに近づきつつありますが、まだまだ暑さが続きそうです。

しべりあが住む長崎は、体感として以前住んでいた福岡よりずっと暑くて、それはもう苦しいほどで、しべりあの自律神経はすっかり焼き切れてしまいました。

命に関わるほどではないにせよ、間違いなく健康を害するほどの暑さ。具合が悪くなる暑さ。

もううんざりです…しべりあ、以前は夏が1番好きな季節で、冬の寒さの方が体にこたえていたのですが、今となっては夏が最も嫌いな季節となりました。

どうか皆さまも、ご自愛しつつ、この暑さに気をつけておすごしください!